計測
2026-1-1
「計測」と聞いて会員諸兄は何を想像しますか?「文明は計る事から始まった」とも言われています。我々Engineerの最たる仕事の1つが計測かと思います。今回は、その「計測」に関してお話をしようと思います。
我々は船内にいて様々な計測を行います。計測とはどの様な事かと言うと「基準となる量(単位)がいくつあるか」を数える事が計ると言う行為です。例えば身長が170cmというのは、1cmが170個分あると言う意味になります。
まずは、この計測の「基準となる量(単位)」は、誰がいつ決めたのでしょうか?
一番身近な単位として長さと重さに関して調べて見ました。
●長さ
・その昔のエジプトでは王様の肘から中指の長さまでが長さの単位とされ、それに合わせた物差しを使ってピラミッドが建設されたとか。
・18世紀のフランス革命の時期に長さの単位を統一する必要が生じ、フランス政府が「地球の北極から赤道までの子午線の距離の1千万分の1」を1メートルと定義した。
・メートル原器
19世紀末になって、世界規模で寸法の基準をそろえる必要から、酸化や摩滅の少ない白金イリジウム合金を用いたメートル原器がフランスで作成された。
・光速基準
1983年になって、レーザー技術の進歩を踏まえて、光の速さと時間をもとに1メートルが決められた。「1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる距離」が今日の1メートルの定義となっている。
●重さ
・18世紀末のフランスで、1kgは水1リットルの質量として定義された。
・1889年には、白金イリジウム合金で作られた世界に一つしかない分銅「国際キログラム原器」の質量を1kgとする定義に移行
・現在は原子の質量から計算する方法となっている(プランク定数を基準として、様々な原子一個の質量を導出する)。
計測は「基準となる量がいくつあるか」を数える事と上記しましたが、我々Engineerはその計測値を使って機器の現状を判断したり、機器の使用寿命を推論する事、更には過去の数値との比較によって機器のOperation状況の良否を考察したり出来る非常に大事な数値となります。もし計測値が間違っていたら事故に繋がる危険が増大する事となりますので、計測は我々Engineerに取って最も大事な基本的な作業と言う事になります。
従って、計測を適切・正確に実施するに当たって大事な事は、以下の様な事かと思います。
1.何のために計測するのか?
ともするとRoutineで実施していて何も考えずに漫然と計測していると、計測した数値の意味(重大さ)が分からず、その場での数値の判断を行えず、後々に重大事故につながる場合が考えられる。
2.如何に正確に計測するのか?
正しく計測する為に如何に計測機器を正しく使用するかが大事となる。例えば取扱説明書等にある計測方法に忠実に従って作業を行う事。
3.計測する機器の取扱い
計測機器が常に正確に計測出来るように整備しておく事。即ち、丁寧に取扱い、使用後には綺麗に掃除をし、保管場所の環境を整える事。
4.計測する機器の校正
定期的に計測機器の校正を行い、機器の計測の正しさを担保しておく事。
上記に加えて、船内に沢山の様々な計測個所があり、その計測する場所に様々な単位があり、その単位には現在、国際単位系(SI単位)が使用されていますが、その単位の意味を理解する事も我々にとっては非常に大事である事は論を待ちません。
今回は、計測に関しての話をしました。技術の進歩により今まで計れなかったものが、計れる様になり、この結果見えないものが見える様になって来ています。この状況だけを考えると事故防止に有用だと思いますが、情報過多になり、却って判断が難しくなって来る事も考えられます。要は各計測値の意味を理解し、その計測値がどこの影響を受けているのか、常にPlant全体のOperationを把握して計測値を理解する事が必要だと思います。それを理解していれば、計測値が異常なのか正常なのかの判断が出来る事となると思います。毎日見ている計器の値が、前回と違ったら何故なのかを考える習慣を身に付けたいものです。
余談:①長さのお話
・フィート(30.48cm):米国などで今でも使用されていますが、Originalは足の大きさに基づいている。
・尺(30.3cm):字の形が示していて、手の平を広げた親指と中指の先端の長さ(約15cm)の2倍
②重さのお話(国際キログラム原器)
パリ郊外にある国際度量衡局で厳重に管理されていましたが、表面の汚染などによってその質量が徐々に変動している可能性のあることが問題となって、現在の原子の質量から計算する方法に変更したとの事。厳重に管理してもダメなんですね。ビックリです。
③単位は本来、誰でも理解して使える事が基本ですが、物体を基準とする方法から、物理現象を基準とする方法に代わった事で、専門家でなければ理解出来ないものとなったとの記述があった事を紹介して置きます。
以上