“会長就任に寄せて”
ー今後も協会は必要なのか?ー

 のっけから奇をてらった表題を掲載しました。
 5月30日の通常総会後の臨時理事会において会長に就任しました庄司です。 これからの協会の運営を託されましたが、ここで一旦立ち止まって当協会の存在意義について考えてみたいと思います。
 まず、皆さんと共通認識を得るためにご存じの方も多いと思いますが、 協会の現状に関する概要をお話します。 現在の会員は約1,000名で、正会員の資格として海技士(機関) 免状を受有している事が条件となっています。会費は、正会員 ¥18,000 / 年、但しInternet会員を選択して戴いている会員は¥15,000/年です。これに賛助会員として約90社 (主に海事関係会社) に加入して戴いています。年間の予算規模は約3,000万円、今年度(2025年度) は約300万円程度の赤字見込みとなっています。基本財産は約6,000万円、事務局は専務理事1名、事務局長1名、事務員1名の3名にて運営しています。
 協会の活動として、 定款の第3条に 「目的」が、第4条にその目的達成の為に行う 「事業」が記載されています。 第4条の一部を記載します (全文は、本稿の最後に掲載します)。
(1) 舶用機関及び船舶運航能率に関する調査研究、改善
(2) 機関誌の刊行
(3) 船舶機関士の労務問題や福利厚生・共済に関する調査研究、改善
(4) 関係団体との連絡及び協力を推進
云々
 上記活動を行う為に理事会、各委員会があり、その委員は現役の会員の皆さんで、自社の業務を抱えながら事務局と共に会の活動に協力して戴いています。
 次に以下の文章を紹介します。
1. 我等は、信愛と協力の下に強固なる団結を以て日本海運の発展を期す
1. 我等は、技能を錬磨し品位の向上に努め職責の完遂を期す
1. 我等は、自由と正義を信奉し海上職域の確立を期す
 これは当協会が1947年(昭和22年) 9月20日に設立された際の綱領です。これに宣言文が続きますが、少々長いので、「宣言」全文も本稿の最後に掲載しますので参照下さい。
 協会が設立されて再来年(2027年)で80年となります。 当協会が設立された昭和22年は戦後間もない時期で、これから日本が日本海運がどの様になって行くのか全く分からない、殆どゼロの状況の中で、 我々の先輩方が集まって、 船舶機関士として1つの職能団体を組織し、 自分達が日本海運を再興し、盛上げて行こうとする事を目的に当協会が設立されたのだと思います。
上記文章は、 その設立時の気概が伝わって来る綱領だと思います。
 それから約80年と言う時が流れました。この間、海運界も世の中も大きく変わり、協会も時代に合わせて組織形態や活動内容を変えて、会員諸兄や日本海運の発展の為に貢献しながら今日まで来たと思います。

 今、時代が大きく変わって来ている状況の中、現在の協会は、会員の皆さんや世の中の役に立っているのでしょうか?また今後も役に立って行けるのでしょうか?この様な問題意識を今般、会長に就任して改めて思い、冒頭の協会の存在意義を考えて見たいと思った次第です。
 そこでまずは、現在の私の個人的な考え方を下記しますので、これから会員の皆さんとの Discussion の端緒になればと思っています。
 現状認識としては、 約80年前の状況やその後の辿って来た時代と、今現在やこれからの80年後には、戦後の混乱期にも勝るとも劣らない我々船舶機関士にとってその存在意義が問われる時代になって来るのではないのかと思っています。
1つは100年に一度舶用機関の燃料転換が、もう1つは船舶の自動化運転が、世界中で日本の相対的地位が下がってきている状況で進められてきています。この様な状況下ですが、職能団体としての当協会は、まだまだその存在意義があるのではないかと個人的には考えています(これは私が、今回会長に就任したから、そう思っているのかも知れませんが)。
 しかしながら、我々が世の中に貢献する為に活動するには、現在の協会には余りにも人、物、金がありません。無い事を嘆いていても始まりませんので、まずは、無いものを得るためにどの様にするのか? また、無い状態のままで、より会員や世の中に貢献する活動をする為にどの様にするのか?を考えなければなりません。これが今回、会長に就任した私に与えられたMission の1つなのかなと思います。
 この課題を解決するためには、私や少人数の事務局だけでは到底なし得る事は不可能です。これには会員の皆さんの協力が是非必要です。
会員諸兄の協力が得られなければ、協会を変えられないし、協会を存続させる事は出来ないと考えます。ただ単に今の流れの中で何もせず、現状と同じ事を継続して行くならば、最終的には協会は消滅する事になるのだろうと思います。
 そこで、 会員の皆さんと今後の協会の有り様を考えながら、もし、時代の流れの中で、協会の存在意義が無いのであれば、協会を終わらせる事も視野に入れて活動をして行く事もやぶさかではありません。その為に会員の皆さんと、また会員の皆さん相互での積極的なCommunicationを図って、表題にしました「今後も協会は必要なのか?」を考えて行きたいと思っています。
 会員の為の協会ですので、会員諸兄から積極的な意見や提案を戴く等の絶大なる協力をお願いする次第です。これから宜しくお願い致します。
以上

令和7年5月
会 長 庄司 勉