統計のウソ(その2)

2026-3-15

 前回で統計のウソについての話しをしました。統計に基づいて算出された数値は決して間違いではありませんが、その数値をどの様に集めたのか?どの様に表現(平均値、中央値、最頻値等)するのか?によって印象が変わってしまう。よって、そこに恣意的な操作が介在する危険がある事を話しました。

 今回も前回に引き続き、同じネットで見つけた情報をお話ししたいと思います。
(前回は、第2項目で終わっていますので、今回は第3項として話を始めます。)
3.母集団の偏向(データは正しいけれど、解釈が間違っている)
 (Narrative)
 第2次世界大戦時、米国が欧州に参戦した当初、軍用機の装甲が薄く、隊員の生還率が50%であったと言われ、士気にも影響が出ていた。
 そこで米軍では、生還率を高めるため、機体の装甲強化を図ることにした。しかし、航空機には重量制限があり、一部分しか装甲を強化することができなかった。
 では一体、機体のどの部分の装甲を優先的に強化すればよいのか?
 その優先付けをするため、米軍は生還した機体の詳細なデータを集め、分析を行った。

 分析の結果、損傷には明確なパターンがあることが分った。
 生還したどの機体も、「翼と胴体」が蜂の巣のように穴だらけになっていた一方で、コックピットなどほとんど損害が無かったところもあった。そこで、軍ではこれらのデータから判断して、損傷のひどい「翼と胴体」の装甲強化を最優先にすべきと考えた。
 しかし、この米軍の判断に反対した一人の天才数学者がいた。コロンビア大学統計研究グループに所属して戦争計画に参加していたエイブラハム・ウォールド博士であった。

 軍の調査は「生還できた機体」のデータのみ収集されたものであって、「生還できなかった機体」についての考察 が抜け落ちていると指摘した。ウォールド博士は軍のデータを基に、生還できなかった機体を含めた全機体の 損傷箇所の分布を推定した。
 そして、「翼や胴体」は損傷しても生還できる箇所であり、データ上は損傷の少ない「エンジンとコックピット」こそがそこを撃たれたら生還できないウィーク・ポイントであると看破した。

 どうですか?目からウロコ!だと思いませんか?
 生還した機体のみを調査しても「沢山撃たれた場所は分かりますが、そこを撃たれても帰還出来る」と言う証明にはなりますが、生還出来なかった機体を調査しないのは、片手落ちと言いますか、全体を正しく把握出来ないと言う事かと思います。
 但し、戦争中ですので、生還出来なかった機体の調査は中々難しいでしょうから、どの程度のSample数が集まったのかは当方には分かりませんが、統計に基づいて何らかの対策を講ずる場合には、その統計がどの様なデータと言いますか、その集めたデータが本当に全体の傾向を表しているのかを考える必要があると言う事かと思います(この最後の傍線は筆者)。
 実際にデータを活用して業務を行う我々Engineerに取って今回の内容は、常に頭に置くべき事項かと思います。さもないと全く違う対応がなされる結果になってしまう恐れがありますので、ゆめゆめ怠りなく。

 以上は、下記参考に記載した如く熊本県の統計情報「統計アラカルト」に記載されていた記事を抜き出したものです。非常に面白い記事でしたので、皆さんに紹介しました。

以上

参考:
1.熊本県企画振興部交通政策・統計局統計調査課 総務資料班 /「統計アラカルト」熊本の統計情報
令和4年12月27日