「Soccer World Cup」
2026-8-1
6月11日から始まった4年に一度のSoccer World Cup 2026「北中米大会」が7月19日までの39日間全104試合で、世界を熱狂させて、その熱い熱い戦いが終了しました。
優勝は決勝戦でArgentinaを破ったSpainが4大会ぶり2回目の優勝を飾りました。
色々な話題を提供した今大会ではありましたが、大会を見て感じた事を記してみたいと思います。
まずは、下世話な話からしたいと思います(筆者の品格の問題を問われかねませんが、敢えて皆さんの興味のある話題なのかなと。単なる言い訳ですが)。
1.賞金
今回FIFAは総額6億5500万ドル(1ドル=160円換算で約1048億円)という巨額の賞金総額を用意したそうです。これは前回2022年のQatar大会の4億4000万ドル(約704億円)の50%多い金額となっているとの事です。
但し、これは出場国数が前回の32ヶ国から今回は48ヶ国へと拡大しており、参加国数が50%増加しているので、実質的な増加ではない様ですが、それにしても巨額です。
更に、賞金とは別に各国には準備費用として150万ドル(約2億4000万円)が支給されるそうです。これを含めると、参加国に分配される総額は7億2700万ドル(約1163億2000万円)に達します。
賞金総額 6億5500万ドル+準備費用 150万ドルⅩ48(=7200万ドル)=7億2700万ドル
この賞金をどの様に分配するかは、以下の様になっている様です。
最終順位 到達ラウンド 賞金額
優勝 優勝 5000万ドル(約80億円)
準優勝 決勝 3300万ドル(約52億8000万円)
3位 準決勝 2900万ドル(約46億4000万円)
4位 準決勝 2700万ドル(約43億2000万円)
5位~8位 準々決勝 1900万ドル(約30億4000万円)
9位~16位 ラウンド16 1500万ドル(約24億円)
17位~32位 ラウンド32 1100万ドル(約17億6000万円)
33位~48位 グループステージ 900万ドル(約14億4000万円)
合計 6億5500万ドル
優勝したSpainは5000万ドル+準備費用150万ドル(82億4000万円)をゲット。日本は、Group Stageを突破し、17~32位だったので、賞金1100万ドル+準備費用150万ドル=1250万ドル(20億円)を受け取っているはずです。
参加した選手にはどのくらいの金額が渡されるのでしょうか?興味がありますね。
参加した選手は、賞金も勿論嬉しいでしょうが、ワールドカップに参加したと言う名誉と言いいますか誇り、それが勲章になる事の方が大きいのかもしれません。
まあ、試合に出場して、活躍すれば、その後に高額な契約金で有名チームからのOfferが沢山来るかもしれないと言う、おまけまで付いて来る可能性もあるかもしれません(また、お金の話になってしまってすいません)。
2.日本の躍進
今回日本チームは「優勝」と言う言葉を堂々と掲げて大会に臨みました。確かにグループステージ(予選リーグ)の3試合と決勝ラウンド1回戦のブラジル戦を見る限り、世界の強豪チームに伍して戦っている様に見受けられました。筆者世代ではこの様な日本サッカーが世界を相手に互角に渡り合える試合を展開出来るとは思いもよらず、隔絶の感があります。一つの事実として筆者が未だ学生だった頃の1977年に、一人の日本人サッカー選手、奥寺康彦氏が、ドイツの1. FCケルンに移籍したと報じられた事があり、当時としては画期的な事でした。それが、今回の日本代表選手26名の内、何と海外組が23名となって、その海外組も世界の名立たるリーグでPlayしています。従って、World Cupで海外の強豪チームと対戦しても、何ら気後れする事も無く、普段のリーグ戦で戦っているのと変わらない状態で戦えたのも1つの大きな理由なのかもしれません。
下記に簡単に日本サッカーの歴史を記載します。
1993年 Jリーグ開幕
1994年 Dohaの悲劇(最終戦のしかも最後の最後で同点にされてWorld Cup出場を逃す)
1998年 France大会で初参加(Johore Bahruの歓喜)も3戦全敗で予選リーグ敗退
2002年日本・韓国共同開催でWorld Cupで初勝利し、Best16へ進出
2010, 2018年 Best16へ進出
2022年 Qatar大会でGermany & Spainを破ってBest16へ進出(※1)
2026年 北中米大会 グループステージ突破、決勝ラウンド1回戦敗退(Best32)
日本のサッカーが年々強くなっているのは紛れも無い事実です。それは何故か?選手個人が日本を飛出し、日々努力している事は間違い無い事だと思いますが、それに加えて選手を支援する協会もまた重要な役割をしているものと思います。詳細は分かりませんが、J Leagueを発足させ、地域密着型として地道にサポーターを増やし、日本選手を海外の有名クラブへ移籍し易くしたりと、選手と共に日本サッカー界が一体となって努力した賜物だと思います。
3.日本サッカーの躍進から思う事
翻って我々の業界はどうか?日本の船会社や船員の技術は、世界のTop Classであると言っています。また海運会社、船員は「自分達は世界を相手に仕事をしている」と言っています。それは事実ですが、本当に我々日本人船員は世界の同業者と同じ土俵の上で戦っているのかと言えば、少々疑問符が付くのではと考えてしまいます。
日本人船員が国際的に活躍する余地はもっとあるだろうし、もっと活躍する事は可能だと思いますが、そのためには、我々船員だけでは無く、海運会社や造船業界等、自由海論#10「日本に海事クラスターはあるのか?」で述べた如く日本に本当の意味での海事クラスターを構築する事が必要なのではないのかと思う次第です。
4.その他の問題
その他に以下の様な政治的、商業的な問題等、書ききれない程、数多く指摘されました。
1)トランプ大統領の関与
Red Cardを受けて次の試合に出場出来ない選手をお友達であるFIFA会長にねじ込んで次の試合に出場させた。結果は敗退しましたが。
2)ArgentinaとEngland
両国の試合後にArgentina TeamがMalvinas諸島(英語名:Falkland諸島)はArgentinaの物だとの横断幕を掲げた(※2)。スポーツに政治的な案件は持ち込まない事に対するルール違反。
3)高額な入場料や商業的な興行
入場料が余りに高額となり一般庶民は入場券を購入する事が出来なかった。この為New York市長が一部の試合の入場料をUS$50(\8,000)で1,000枚準備(抽選)したり、無料のPublic Viewingを設営したりした。
また、FIFAが今回のWorld Cup Cycle(2023~2026年)で見込む総収益は約110億ドル(1兆7600億円)を稼ぎ出したとも言われています。
5.最後に
世界が複雑になり、大会の規模も回を追うごとに拡大して様々な問題を抱えていますが、人類をひと時熱狂させ、国を一つに纏める効果はあろうかと思います。
ただ忘れてはならないのは、この様な世界が熱狂している間でも、米国イラン紛争、ガザ地区の悲劇、ウクライナ・ロシア紛争が継続している事実があると言う事です。どうして人類は、この様なEventに仲間と共に集中・熱狂出来るにも関わらず、愚かし戦争等をするのか筆者には理解が出来ません。
以上
(※1)日本は前回2022年のQatar大会で、今回優勝したSpainに2-1としかも逆転で勝っている事実があります。ビックリですね。皆さんもご記憶にあろうかと思いますが、「三苫の1mm」が有名になりました。
(※2)Falkland紛争
南大西洋上のArgentina沖、Magellan海峡に程近い場所にある諸島で、一応英国領。1982年にこの島々の領有権を巡って英国とArgentinaが戦火を交え、最終的には英国が勝利した紛争。筆者の記憶にあるのは時の英国首相でIron Ladyと呼ばれたThatcher首相が断固たる態度で、紛争に臨み、勝利を収めた事。この紛争で豪華客船である「QE II」を輸送艦として徴用した事や、英国王室のAndrew王子もヘリコプターの副操縦士として従軍していました。この様な事が良いのか悪いのか筆者には分かりませんが、こう言った際の英国の姿勢には覚悟と言うか厳しいものがあるなと当時、感じていました。
現在も同諸島の帰属に関して、Argentinaは自分の領土であると主張している事から、今回のWorld Cupでの仕儀となった様です。
(※3)Cabo Verde(カーボベルデ)
全くの余談となりますが、Cabo Verdeと言う国に関してです。
一躍人々が知る国となりました。面積が滋賀県程度で人口も60万人ほどの大西洋上セネガル沖に浮かぶ島嶼国の小国です。Basket Ballをやっている人はこの国を知っているかもしれませんね。2023年のBasket Ball World Cupで日本と対戦していました。
筆者は、この小国に非常に懐かしさがあります。何故ならば、筆者はこの国に行った事があるからです。勿論船で行ったのですが。入社して間もない1983年頃、米国Gulfとアフリカ西岸の大西洋諸港を往復していたRo-Ro船に乗船しての事でした。今でも記憶にある事は、Local Port(正確には記憶していませんがサンビンセント島の漁港ミンデロ)に寄港し、上陸した際に日本語がバリバリに通じてビックリした事です。今回のWorld Cupで紹介されていましたが「Saiko dayo(最高だよ)」と言う日本語の歌が現地にはあるようです。当時(今は分かりませんが)、日本の遠洋漁業の基地の1つとなっており、マグロ船の多くが寄港していたからだと思います。寄港した際、日本の週刊誌等の雑誌を持って停泊中の日本のマグロ船を訪船するとお土産にマグロを戴き、C/Cookに料理して貰った事がありました。またその後に首都の港(ブライア)に寄港したのですが、今度は日本語が全く通じ無かった事にまた驚いた記憶があります。いずれにしろ入社間もない事もあり世界は広いなーと思った次第です。