「若者は何故会社を辞めるのか?」
2026-6-15
今年も本格的な「新卒者の就職シーズンが到来」しました?。
厚労省によれば、下記の就職・採用活動日程ルールを原則とするとあります。
・広報活動開始:卒業・終了年度に入る直前の3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・終了年度の6月1日以降
・正式な内定日:卒業・終了年度の10月1日以降
と言う事で、冒頭の就職シーズン到来と記しました。
しかしながら、昨今の売り手市場から本年3月6日の日経新聞によれば、2027年に卒業する大学3年らの3月1日時点での内定保持率が過去最高の51.7%に達しているとあり、上記のルールが有名無実化している様です。ですので、冒頭の末尾に?マークを付した次第です。
さて、その様な売り手市場の就職戦線ですが、最近の若者は簡単に会社を辞めて行く傾向にあると世間では言っています。若者の転職は古くて新しい問題だと思いますが、最近その傾向が顕著になって来ている様なので、それを考えてみたいと思います。
筆者は1980年(昭和55年)社会に出て、船会社に三等機関士として入社、定年退職するまで同じ会社にいたので転職の経験はありません。従って、転職する人達の気持ちは分かりません。また、会社人生の中で人事・労務畑も経験した事がありませんので、直接的にこの問題に関わった事もありません。但し、昔と比較して転職する人達が多くなって来たとは聞いています。
ふとある時、ある人から若者の転職に関する面白い本があると紹介されて読んで見たら、なる程と考えさせられましたので、皆さんに紹介したいと思います。
題名は「ゆるい職場」 古屋 星斗 著 中央公論新社 と言う本です。
その本によれば、現代の若者が会社を辞めるのは、一言で言えば
「職場がゆるくて辞める」
と言う事の様です。
会社がきつくて辞めるのではなく、会社は好きだが、自分の事を考えると職場がゆるい故に不安を感じる。
具体的には
・「この職場にいると転職できなくなるのではないか」
・「自分の会社でしか生きられない人間になってしまう」
・「同年代として活躍できるようになるイメージがわかない」
・「会社の仕事を続けていると、キャリアの選択肢が狭まる様に感じる」
これらを表現すると
「不満型転職から不安型転職へ」と言う事だそうです。
昔は「パワハラ」等と言う言葉も無く、OJTがメインで、失敗すればバカだチョンだと罵声を浴びながら、それでもそれが普通の状況で、何ら違和感無く若者が一人前に育って行く職場環境だったと思います。筆者が初めて陸上勤務をした時の副部長にお酒の席でしたが、「滅私奉公」だと言われました。若い人達はこの意味は分かりますか?
しかしながら、今は違います。
何故違って来てしまったのか?
一番の要因として「法制度」を挙げています。
・2015年 若者雇用促進法
採用活動の際に自社の残業時間平均や有給休暇取得率、早期離職率などの公表を義務付け
・2019年 働き方改革関連法
労働時間の上限規制が大企業を対象に施行(中小企業は2020年から)
・他にも、2010年代後半から現在に至るまで非常に多くの職場に関する法令の改正
これにより近年の労働時間の縮減を始めとした職場環境が急激に改善され、職場で叱責された事が無く、時間外の減少だけで無く、育児休暇を含めた休暇制度も充実して、職場が、所謂「ゆるく」なったが故だと言っています。
会員には沢山の若者がいますが、若い会員の方達はこの説明をどの様に受け取るのでしょうか?
一方会員の中には管理職の方達も多いと思いますが、この様な「ゆるい職場」でどの様に若者を育て、一緒に働いて行けば良いのかと悩んでしまう方もいらっしゃるかと思います。
この本によれば、
「会社の外を見た上で、自社を大好きになるが、別世界に飛び出せる力を持つ若手を作っていく」。メンバーシップ制と称して「会社に若者を閉じ込めるのでは無く、社外活動(Group会社や社内の全く違う部署も含む)を通して、改めて自社を見つめなおして貰い、関わった人達と複数の関係性を持つ事」と言っています。但し、この様な外での経験をし、実力を持った若者程、転職率も上がっているのも事実だと言っています。
では、いったい管理職はどうすれば良いのか?
若手の不安を解消する為に必要なのは、管理職が「勇気を持ってしっかりと自分の意見を若手に伝える」―>若者の選択肢の一つとする
管理職が唯一絶対の正解を示すスタイルでは無く、「その若手にとっての選択肢・参考情報の一つとして自覚し、自分の意見や意思を明確に伝える」という情報提供のスタイル。
様々なソースからの情報の取捨選択だけが、「不安」を解消する選択肢を獲得出来るチャンスを増やす。その一つの情報源として自分の意見を開示し、そしてその他の情報源も提示する。これが「不安」に対するマネジメントスタイルになるとの事です。
筆者には難しい事は分かりませんが、この本の著者が言わんとしている事は、結局は昔も今も変わらず、管理者は自分に自信と誇りを持って業務を行っていれば、その背中を見て若者は育って行くのではないのかなと思う次第です。但し、これが独りよがりと見られたり、唯一の正しい方法として押し付けない事かなと。その為にはやはりCommunicationが必要なのでしょう。
この「自由海論」を読まれた会員諸兄で、管理職の方と若手の方が今の職場環境に関して本件を酒の肴にしながら盃を交わし、お互いの意見を話し合って見ては如何かと思います。
この様にお酒を飲みながら話をしたらと言う事自体、筆者は時代遅れと言うか、今の職場環境を理解していない、古い頭を持った人間と言う事でしょうか?
以上
P/S:この本の中に以下の文もありましたので、併せて紹介します。
1.日本人の仕事への熱意は世界でも飛びぬけて低い事は良く知られている。ギャラップ社が2017年に発表したエンゲージメント調査によれば、日本企業においてエンゲージメントが高く、熱意溢れる社員は6%程度しかおらず、世界ワースト水準(アメリカは30%、世界平均は15%)。
―>終身雇用制度の弊害なのでしょうか?日本企業の生産性が低いと言われる原因なのでしょうか?いすれにしろ、このデータを見た時はショックでした。
2.「目的地の無い船には追い風は吹かない」詠み人知らず。
この本の著者が好きな言葉と記載していました。筆者もこれを読んだ時に良い言葉だなと思いました。
*(注1)下線は、全て筆者にて記載しています。
(注2)二重下線は、筆者の個人的な考えです