自由海論ー国語に関する世論調査

2025-9-29

9/26に文化庁が、令和6年度の「国語に関する世論調査」の結果を公表しました。
普段我々が何気なく使用している言葉に関しての内容であったので、会員諸兄と共有しておきたいと思います。
(参考)この調査は国語への理解を把握し、関心を高める為、平成7年度から毎年実施。
今回は今年1~3月に16歳以上の男女3498人から回答を得た。

1.SNSに関しての調査
今回初めて調査したとの事で、SNSが言葉への影響を感じる人が9割近くに上ったとあり、実際にSNSを中心に使われる様になった新しい表現が浸透して来ている状況が判明したとしています。
具体的な事例として(意味は後述しています)、
「家電」(いえでん)*「かでん」ではありません。
「映える」(ばえる)
「課金する」
「ポチる」
「エモい」
恥ずかしながら筆者は、上記語彙の内「映える」と「エモい」は分かりますが、間にある3つの意味は、今回初めて知りました。世の中に迎合するつもりはありませんが、この様な事を知らないと、若い人達とCommunicationを取れなくなると思うと、そうも言っていられなくなります。年配の機関長さん達も船内や会社で若い社員の方々と意思疎通する為に、この様なSNSで頻繁に使用されている新しい言葉を理解する必要があるのかもしれません。

2.使われる頻度が減って来た言葉
「ご苦労様でした。」
上下関係を意識付けられることへの配慮からか、職場で使用される事が年々減少している事が分かったとありました。
筆者が初めて陸上勤務した際、先に帰宅する上司に「ご苦労様でした。」と言った所、その上司からその言葉は、目上の人に対して使うものでは無く、その場合には「お疲れ様でした。」を使うべきと指導されました。当時の上司は、筆者に1社会人の常識としての言葉使いに対して上下関係を意識すべきと言いたかったのだと思います。
確かに最近は、仕事や何か作業をした後に上下関係に気を遣う必要の無い言葉で「お疲れ!」とか「お疲れ様でした」と言う事が多いと感じます。

3.本来の意味と異なる使い方している語句(正しい意味は後述しています)
「にやける」
「潮時」
「役不足」
「付かぬこと」
「したり顔」
さあ、皆さん。上記の言葉をどの様な意味に理解して使っているでしょうか?流石に「潮時」は、会員諸兄で間違って使用している方は殆どいないのでは無いかと思いますが、どうでしょうか?
言葉は、時代により変化するものです。新しい言葉が生まれてそれが浸透し、普通の言葉になって行きますが、本来使用する意味と違った使い方をしている言葉に関しては、正しい意味を理解して使って行きたいものです。さもないと言葉は全ての基本ですので、少々大袈裟かもしれませんが、日本の良さが崩れて行ってしまうことを危惧します。

4.余談
「舟を編む」と言う情熱を持って「大渡海」と言う架空の辞書を編纂する人達を描いた映画やテレビドラマがあった事を覚えている会員諸兄もいるかと思います。何故辞書の編纂が「舟を編む」と言う事になるのか?これはこの辞書のTitleでもある「大渡海」に起因している、即ち辞書と言うのは「言葉の海を渡る舟」であり、この舟(辞書)を編纂する事から物語の題名が「舟を編む」と言う事になっている様です。事ほど左様に舟(船)も言葉と同様に大事なものであると個人的に言いたいだけの紹介でした。

今回の話の内容は如何でしたでしょうか?本件に関して会員諸兄からの感想とか、コメントを戴ければ有難く思います。

(参考)
◎SNSに関しての調査で紹介した「具体的な事例」の意味:
※ %は他人が使うのが気にならない人の割合
「家電」:自宅にある固定電話               82.8%
「映える」:写真に写すときなどにきれいでおしゃれに見える 81.1%
「課金する」:インターネットの有料サービスを利用する   80.7%
「ポチる」:インターネットで商品などを買う        69.0%
「エモい」:心が揺さぶられる感じがする          56.7%

◎本来の意味と異なる使い方している語句の具体例の解説:
※ 〇は辞書などで本来の意味とされてきたもの
回答率

「にやける」:
薄笑いを浮かべている                                     81.9%
〇なよなよとしている                                     10.5%
「潮時」:
ものごとの終わり                                         46.7%
〇ちょうどいい時期                                       41.9%
「役不足」:
本人の力量に対して役目が重すぎること                     48.9%
〇本人の力量に対して役目が軽すぎること                   45.1%
「付かぬこと」:
些細でつまらぬこと                                       41.6%
〇それまでの話と関係のないこと                           45.6%
「したり顔」:
知ったかぶりしている様子                                 25.1%
〇得意げな様子                                           64.5%